待ち時間を短く感じさせるBGMとは?
銀行、病院、役所・・・待ち時間というのはほんとに退屈なものです。
待ち時間を短く感じさせる工夫は昔から実践されていますが、BGMを流すというのはその中でもポピュラーではないでしょうか。
ではどんなBGMが良いのか?
そんな調査や論文を探してみました。
体感待ち時間を短縮する背景音楽の調査
大阪大学経済学部の学生による調査。
テンポが速い方が待ち時間を短く感じる?
調査結果をみると、より体感待ち時間を短く感じさせるBGMとは以下のようになります。
- テンポの速いBGM
- 歌詞の付いたBGM
どうでしょうか。テンポに関しては意外ではないでしょうか?
ぼく自身の経験上、待合室ではゆったりしたテンポの遅いBGMが良く流れているように思いますが、それらはもしかすると体感待ち時間を長く感じさせているのかもしれません。
心地良いと感じるテンポが必ずしも体感待ち時間を短縮するわけではない
ですが、同じ調査の中で、最も心地良いと感じるBGMのテンポは「遅い」となっており、体感待ち時間を最も短く感じるBGMと符合していないのが興味深いです。
心地良さを取るか、体感待ち時間短縮を取るか。
悩ましいところですが、これはサービス内容や業態、待合室の外観に合わせて選ぶべきでしょう。
この調査、n=28(サンプルが少ない)、サンプルは大阪大学の学生(若い、偏りがある)といった、調査サンプル自体に若干気になる点があるのは否めません。
ですが、非常に面白い内容だと思います。この調査結果には、知らない曲と知っている曲をBGMにした場合の比較なども検討されていますので、気になる方は検索してみてください(ネット上に全文上がっています)。
待ち合い空間における音環境の違いが心理的時間評価と印象評価に与える影響
こちらは千葉大学環境デザイン研究室の調査。
テンポが明瞭なBGMほど待ち時間を短く感じる
こちらの調査をまとめると、より待ち時間を短く感じるBGMは、
- テンポが明瞭かつ速いBGM
となっています。こちらでもやはりテンポが速い曲の方が待ち時間を短かく感じるという結果に!
こちらの調査は、論文からはサンプル数が解らないのが残念なのですが・・・公共機関の待合空間14箇所で実地調査しているようなので、広くサンプルを取っていることはうかがえます。
また、BGM以外でも環境音なども比較されていますが、「水の流れる音」など環境音のスコアが結構低いのが面白いです。環境音自体はいわゆる1/fゆらぎを多くを含み、一般に「心地良い」とされていますから。
結論
- テンポの速いBGMは、待ち時間を短く感じさせる
- 心地良いBGMと待ち時間を短く感じさせるBGMは一致しない
- 「環境音」は待ち時間を短く感じさせたい時には不適
1985年、スティービー・ワンダーは楽曲「overjoyed」で水や葉っぱの音、コオロギや鳥の声などをパーカッションとして曲中に取り入れ、その心地良さで多くの人を魅了しました。
心地良さのポテンシャルをものすごく持っているはずの環境音。テンポ速めの音楽に環境音を組み込めば、待ち時間を短く感じ、かつ心地良い究極のBGMが作れるのかもしれません。
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