フリー音楽素材の「フリー」って何だろう?使用する際の注意点など

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日本にはフリー音楽素材サイトがいくつもあります。

また、音楽に限らずイラストや写真など様々なフリー素材サイトもたくさん存在しています。

この日本のフリー音楽素材の「フリー」とは何がフリーなんでしょうか?

フリーの意味

実は「フリー」の意味はサイトによってまちまちです。

フリーが指している部分が何かはだいたい以下のようになりますが、このうちどれがフリーなのかはサイトによって組み合わせが違っています。

  • 著作権(※注意)
  • 著作権表記の必要
  • 使用目的
  • 商用利用
  • 使用料金

※注意 著作権フリーという表現には注意です。著作権フリーといいながら著作権が放棄されているサイトはまずありません。参考:フリー音楽素材サイトの利用規約まとめ

これらのうちの何がフリーなのかで使用条件が決まります。

使用条件の組み合わせの例

サイトA)著作権表不要、使用目的制限あり、商用利用不可、使用料金なし
サイトB)著作権表記必須、使用目的制限なし、商用利用可、使用料金なし

このようにサイトによって組み合わせが異なります。

ところが、サイトによっては使用条件から外れた使用について、別途料金を支払えばOKだったり別の条件が絡んでいたりとまた対応が違っています。

使用条件から外れた場合のルール例

サイトC)通常は商用利用は不可だが、使用料を支払えば使用できる
サイトD)商用利用不可(どんな場合も)
サイトE)通常は著作権表記しなくてよいが、商用の場合は表記必須

このように「商用」と「著作権表記」など複数の項目が相互に絡んだルールになっていたりもします。

ちなみに当サイトMusMusでは使用料金と使用目的と商用利用がフリーであり、著作権は保持しています。(著作権表記をすれば、無料でどんなコンテンツのBGMにも商用にも使用できます)

間違っている著作権フリーという言葉

注意が必要なのは、「著作権フリー」を謳いながら著作権を主張するサイトがたくさんあること。ぼくは以前より著作権フリーという言葉は使うべきではないと(ひっそりと)主張してきました。

Q 著作権フリーなのですか?
A MusMusのフリー音楽素材は利用規約をお守りいただければ自由に無料でご使用いただけますが、著作権は放棄しておりません。 個人的には「著作権フリー」という言葉は意味が統一されておらず誤解を招くのであまり使用しない方が良いと考えています。(MusMus FAQより)

著作権フリーとは、文字通りであれば著作権を放棄しているか消滅しているパブリック・ドメインを指すはずです。

Wikipedia「著作権フリー」の記事で引用されている書籍でも、著作権フリーを謳いながら著作権を保持しているケースをはっきり「誤った使用例」としています。

著作権フリー(ちょさくけんフリー)とは、文字通り解すれば、著作物に、著作権が存在しない状態。あるいは、放棄された状態のことである(アライコウ 2011, p. 136)。しかし少なくとも日本では、利用規約範囲内で断り無く使用できる意味として、権利放棄されたものでないとも指摘される言葉である(妹尾 2006, p. 45)。
~ 中略 ~
この誤った使用例は、素材データの分野では、表現上の問題が含まれたまま数多く定着した(アライコウ 2011, p. 136)。 言葉の表現に関わらず利用範囲や配布可能数を、逸脱した場合は、著作権の侵害である(日本商工会議所 2005, p. 172)。2011年8月21日 (日) 06:20

どういうことかというと、著作権フリーを謳っているサイトの素材でも、利用範囲を逸脱した場合にはキッチリ著作権侵害になるということです。

実際に「著作権フリー音楽」で検索してヒットしたサイトを見てもほとんどサイト側が著作権を保持しており、著作権を放棄しているサイトはまず見つかりません。

料金フリー(無料)について

「フリー音楽素材」でヒットするサイトのうち無料のサイトの多くが個人運営です。どうも日本では「作曲も運営も個人というフリー音楽素材サイト」がとても多いようです。そしてそれらのサイトの特徴として「著作権を放棄していない」ことも挙げられます。

海外はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスですっきり

海外の音楽素材はロイヤリティーフリー(この言葉も勘違いされがちですが料金形態の一種なので本来は無料ではなく有料です)のものと無料のものがはっきり区別されているように思います。

中でも無料素材に関して特筆したいのは、多くの素材がクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに準拠していることです。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは、大雑把にいえば著作権とパブリックドメインの橋渡しをするライセンス形態です。とても便利なライセンスなので海外では広く利用されています。

日本の音楽素材で複雑化している「改変」「再利用」「著作権表記」「商用利用」の4項目のどれがどのようにフリーなのかは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを採用すると明確になります。

まとめと提案

まとめます。

  • フリー音楽素材の「フリー」が指している意味はサイト毎に異なる
  • 「著作権フリー」という言葉には注意が必要
  • 海外ではクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを活用

このようになりますが、これだけでは「日本のフリー音楽素材は使い難いぞ」で終わってしまうので、ちょっとした提案を・・・

フリー音楽素材を利用する方へ向けて提案

サイト間で異なるフリーの意味とルール・・・面倒に感じるかもしれませんが、これは当たり前のことなのです。
amazonと楽天の利用規約は同じではないことと本質的には一緒です。音楽素材サイトもそれぞれ理念も違えば目的も違うのです。

そんなサイト毎に異なるルールを把握するのは難しいので、うっかり著作権を侵害しないための自衛策としてこんなことを提案したいです。

  • 使用するサイトをなるべく少数に絞る
  • 使用楽曲の選定やダウンロード作業はコンテンツ制作の最後に回す

多くのサイトを利用してしまうとそれぞれの規約を確認するのが大変です。
また、「ダウンロード時に利用規約を保存しておく」ことはあまりおススメしません。保存した規約と楽曲を紐づけするのが手間ですし、保存しておいた期間中に規約自体が改訂されているかもしれません。

フリー音楽素材を公開する方へ向けて提案

ユーザーではなくフリー音楽素材サイト運営者の方への提案としてこのようなものを考えてみました。

  • 著作権フリーを標榜するのであれば著作権保持は主張しない
  • 著作権を放棄していないのであればそのことをトップページなどに表示する
  • 利用規約が存在することをトップページに設置する
  • (クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに準拠する)

いかがでしょうか。

ただ、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは導入できれば権利関係がとてもスッキリしますが、実際にやろうとすると切り捨てなければいけない事も多く意外と難しいかもしれません。

クリエイターとユーザー双方が理解しあってお互い納得できるのが理想ですね。

| カテゴリ:音楽素材考察

“フリー音楽素材の「フリー」って何だろう?使用する際の注意点など” への2件のフィードバック

  1. 村岡真二 より:

    とても良い勉強になりました。
    私自身も過去に、著作権フリーBGMの楽曲を友人に送ってしまった事があり、後で私の方から「〇〇様の楽曲を友人に送ってしまって申し訳ございませんでした。」と謝罪させて頂いた事があります。
    自分もこれから、フリーだからむやみに使わずに絞って、家族だろうが友達だろうが関係なく渡さないようにします。

    • watson より:

      コメントありがとうございます。
      なるほど、そんなことがあったんですね。
      ただ、その二次配布についてもOKなサイトもあります。記事中にもありますクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを使用しているサイトは100%二次配布OKです。(そもそもそういったライセンスなのです)
      サイトによって異なるというのが結論になってしまいますが、コメントのようにちょっと厳しめのルールに意識を合わせておくと安全かもしれませんね。

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