マイコンで音楽 | むかしのこと1
パソコンで音楽を作って演奏する。
そんなDTMが世の中に浸透した今でこそ当たり前なことも、ぼくが音楽を始めたころはそう容易ではありませんでした。
N88-BASICで単音BEEP
当時、個人のコンピューターはマイコンと呼ばれており、マウスなど無く、操作はコマンドラインからするのが当然でした。
今のウインドウズマシンでも、「cmd」というプログラムを立ち上げれば、その片鱗(笑)を見ることができます。
N88-BASICというプログラミング言語で単音のメロディーを鳴らしたのがぼくの最初のDTMです。
方法はMMLというもので、音符やらなんやらを「t120l16o5a8b-ce4e」といった風に打ち込んでいきます。
(ちなみにこれは「テンポ120でオクターブ5で特に指定の無い音符は16分音符でラシ♭ドミミって鳴らせ」って意味です)
「ビー」という味気ない音での単音メロディー。でもものすごく感動したのを憶えています。
NEC-PC-8801mkⅡSRとサウンドボード
当時日本ではNECのパソコンが主流でしたが、音楽機能に関しては上記のような貧弱なものでした。
ところが、それが劇的に進化しました。NEC-PC-8801mkⅡSRの登場です。
単音だった音がYM2203というチップの搭載によりFM音源3音+SSG3音と、なんと6和音も出せるようになったのです。同時に、古い機種でもこの機能を拡張できる「サウンドボード」というものが発売されました。
この時期、ゲームでは「イース」「ハイドライド」「ソーサリアン」といった名作が発売されてます。
サウンドボード2
その後、チップはYM2608に進化し、FM音源6音+SSG3音+リズム音源6音+ADPCM1音となっていきます。
Ys(イース)
ぼくは店頭デモで見た「イース」に衝撃を覚えました。
当時はゲーム機としてファミコンは普及していたわけですが、「イース」ではファミコンのピコピコ音とは根本的に違う、チョッパーベースが鳴っていたのです。
当時からT-SQUAREやCASIOPEAのファンであったぼくは、チョッパーベースというものに異常な興奮を覚える性質だったのです。もちろんチョッパーベースだけでなく、多彩な音で構成された音楽はぼくを虜にしました。
マイコンBASICマガジン
実は、そういったゲームの音楽は、各ゲーム会社の独自なドライバでチップを制御しており、BASICでは到底不可能な技をいくつも使えました。
そもそもBASICだと独自の音色を作ったりもできないのです・・・
そこで、当時マイコンBASICマガジン(通称ベーマガ)という雑誌に載っていた「FN音源ドライバ」(だったかな・・?確か)の出番です。
これは、16進数のマシン語をたった数百行打ち込むだけで、BASICでも音色を独自に作れるようになる!というありがたいものでした。(他の拡張機能があったか思い出せない・・)
当然打ち込みますよね。
マシン語っつーのは、
0012 f860 ffff ffff f465 9eca 8456 6a00 f4
6871 bd44 4bd2 0000 9877 f021 063d dc88 01
.
.
.
こんなんだったと思います。確か(この辺の記憶はあやふやですいません)。
たとえこれを100行打ち込む間にミス入力があったとしても、「チェックサム」というのが付いているのでどこが間違っているかわかるので安心なのですね。ありがたや。
当時のベーマガにはこのドライバを駆使して打ち込んだMMLの投稿コーナーがあり、ぼくはそんな投稿作品を自分で打ち込んで鳴らして楽しんでたのでした。(もちろんMMLも非常に長いものなので、打ち込むのは容易ではない)
それでもBASICは限界だ
それでも、市販ゲームに搭載されている音楽には機能的に到底及びませんでした。
依然として市販ゲームの音楽では可能な「ポルタメント」「ビブラート」などは不可能だったのです。
そんな折、ぼくはbangという友人の家で衝撃的な思いをするのです。
FM音源ドライバPMDとの出会いへつづく
[…] 前回のあらすじ […]