オリジナル楽曲を海外のレーベル(Believe Music)に無断で使用・販売されてから取り下げさせるまで

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フリー音楽素材サイトMusMusを運営しているwatsonです。

いやーやっとこのまとめを書くことが出来ます。問題発覚から9か月ほど、Believe Music問題、収束しました。

MusMusユーザーさん以外の同じ問題で困っている人が検索でたどり着けるよう、こんなタイトルにしてまとめてみました。

起こったことを時系列で書いておくと、

1. MusMusの楽曲を無断で取り込んだ2曲が発売される
2. 謎の団体Believe Musicが、YouTubeのコンテンツIDに同2曲を登録する
3. MusMusの原曲2曲を含む動画がYouTubeで軒並み著作権侵害の警告を受ける
 (ここで初めて問題を認識)
4. 苦労して海外レーベルを突き止めて申し立て
5. コンテンツID削除

こんな感じです。MusMusが素材サイトでなければ放置しても良かったんですが、YouTubeのコンテンツIDという仕組みに楽曲が登録されると同じ楽曲を使った動画に著作権侵害警告が発生してしまいます。これじゃあ素材としてはキズモノにされたも同然です。コンテンツID削除に向け活動を始めたのですがこれが思ったより大変でした。

これまでも国内のレーベルに誤って楽曲を登録されてしまったことが何度かありました(この記事とか)が、いずれもレーベルに連絡することですぐに解消されてきました。

なので、ユーザーさんから「YouTubeに動画をあげたらBelieve Musicというところから著作権侵害の警告が来た」という連絡をいただいた時も「聞いたことないところだけど、検索で探して連絡すればいいや」と軽く考えてました。

Believe Musicが見つからない問題

早速「Believe Music」を検索するとそれっぽいところが3~4個出てくるんですが「どれなんだ?!」状態。取りあえず、片っ端から連絡を入れてみました。海外のサイトにも英文で問い合わせしますが、返ってくるのは「うちじゃないよ」という回答ばかり。

そんな検索、問い合わせの日々、ユーザーの方にとある海外掲示板のやりとりを教えていただきました。それがこちら

YouTubeでBelieve Musicから著作権警告が来るというもの。うちと全く同じです。そこにあげられていたURL

こ れ は あ や し い ・ ・ ・

Believe Digital UKへメール

あやしいと思いつつも「Believe Music」とはちょっとワードが違う。確証は持てません。このころにはamazonやらiTunesやらあらゆるルートで件の曲が販売されている事を掴んでいましたので、まずは「これらの楽曲はあなたのレーベルのものですか?」と探りを入れてみることにしました。

結果は・・・・無視!

YouTubeへメールで申し立て

しょうがないのでYouTubeの窓口にメールで申し立てを行いました。以下内容。

YouTube
ご担当者様

お世話になります。

私が作曲・制作した楽曲の音声データをそのまま取り込んだ楽曲が第3者によってコンテンツIDに登録されており、大変困っております。

私が制作した楽曲は以下の2曲であり、http://musmus.main.jp/ で公開しています。
・「雪と子供」 : http://musmus.main.jp/***/***.mp3
・「古き良き日々」 : http://musmus.main.jp/***/***.mp3

コンテンツIDを登録している第3者は「Believe Music」であり、それぞれ、

「雪と子供」がAban DJの「Gentle Night」
「古き良き日々」がJamie Winter Quartetの「Jazz Piano」
として登録されております。

amazonにも登録されていましたのでそちらで試聴してみましたが、「Gentle
Night」は冒頭に「雪と子供」の音源をそのまま挿入、「Jazz
Piano」は「古き良き日々」の音源にベース、ドラムスを重ねているようです。

私はこのような楽曲使用を許可していません。
また、もし許可していたとしてもコンテンツIDとして許可されていない「マッシュアップ」「リミックス」にあたると思われます。

コンテンツIDの取り消しをお願い致します。

ご返信の程、宜しくお願い致します。

そうなんです。コンテンツIDのヘルプにははっきり「マッシュアップ」「リミックス」は登録できないと書いてあります。たとえぼくが使用を許可していたとしても、どう考えてもアレンジ楽曲なのでコンテンツIDに登録されていいはずがありません。それに対するYouTubeの驚くべき回答が以下。

いつも YouTube をご利用いただきありがとうございます。
メッセージをいただき、ありがとうございます。

あなたの動画に対して、コンテンツ所有者が YouTube Content ID システムを使用して申し立てを行いました。

動画に適用されたポリシーの詳細については、YouTube アカウントの著作権情報セクションをご覧ください。ここで、動画の [編集] メニューの右側にある下線付きのリンクをクリックすると、申し立ての詳細をご覧いただけます。

申し立てが誤って行われたと思われる場合は、このページから直接異議を申し立てることができます。申し立てに対して異議を申し立てた場合、申立人が異議申し立てを確認するまで 30 日の期間が与えられています。

Content ID に関する申し立てによっては、あなたのアカウントの状態にも影響が及び、いくつかの YouTube の機能にアクセスできなくなることもあるのでご注意ください。

YouTube が、著作権侵害に関する異議申し立ての仲裁を行うことはありません。

よろしくお願いいたします。

YouTube 法務サポートチーム

\(^o^)/
申し立てのどこを読んだらこうなるの?(笑)

この返信が言っているのはBelieve Musicが著作権者と認めた上での行動案内です。これだと話にならないですね。

YouTubeへ申し立て(2回目)

Believe Musicが見つからない上にYouTubeまでらちが明かないので別の作戦を立てます。ユーザーさんからの情報で、警告に対して異議申し立てを行えば(YouTubeにはそのような仕組みが備わっています)Believe Musicは警告を取り下げることがわかっていました。コンテンツID登録者はもっと強硬な態度で動画を閲覧不可にしたりできるのですがそうはしてきません。

では、ぼくが楽曲の著作権利者として申し立てを行ったらどうか?それで向こうが警告を取り下げたのなら、YouTubeはBelieve Musicが著作権保持者ではないと認識できるんじゃないか?

早速音楽が流れるだけの動画を2曲分作りYouTubeにアップ。予想通り警告が表示されたのでそれに対して著作権利者として異議申し立てを行いました。

結果・・・・警告は取り下げられましたが他には特に何も起こりませんでした。コンテンツIDも生きたままです。orz

YouTubeへ申し立て(3回目)

だんだん手が無くなってきました。知恵を絞ります。そういえばYouTubeの回答に「YouTube が、著作権侵害に関する異議申し立ての仲裁を行うことはありません。」というのが。だったら直接やりとりしろということだから求めれば相手との連絡をとってくれるんじゃないか?再度YouTube窓口から問い合わせ。今度はこのように送ってみました。

私が作曲し、私だけが権利を持っている楽曲が第3者によってコンテンツID登録されています。
この悪意ある第3者「Believe Music」と連絡を取るためにはどのようにすればよいでしょうか。
あるいはこの第3者の個人情報開示請求はどのような手順で行えばよいでしょうか。

帰ってきた回答は・・・・ほぼ前回と同じ!と、がっかりしかけたその時、前回になかった一文が最後に追加されています。

お客様は、その間に *******@***.*** で申立人と直接連絡を取り、この問題を解決することができます。

きました!メールアドレス。おそらくフランス語圏の個人名のアドレスです。この個人名で検索すると、linkedinという海外SNSのプロフ画面がヒット。そこには「Believe Digital」の文字が・・・

そしてメアドの後半にあるドメインに直接アクセスすると、とあるアドレスにリダイレクトされました。そのアドレスとは、

Σ(゚ロ゚;)やっぱりお前じゃないか!believedigital!
最初の問い合わせをガン無視しおって~

believedigitalに問い合わせ(2回目)

もう一度問い合わせ。今度はあやしいという段階じゃない。完全に真っ黒ななのでスバっと確信を書きました。YouTubeに教えてもらったアドレスと、CCにbelievedigitalサイトに書いてたった窓口のアドレスも入れときました。多分YouTubeに教えてもらったアドレスは偉い人のものですが、そうすることによって無視はできないだろうと思ったのです。

結果は・・・またもや無視!

believedigitalに問い合わせ(3回目)

ここまできたら引き下がれません。再度問い合わせ。今度はbelievedigitalサイトの法務部門の窓口のみに送ってみました。

Dear Customer Support

My name is ******* and I have published a music on the
website;MusMus(http://musmus.main.jp/).

I found these songs.

http://www.amazon.co.jp/Gentle-Night-Aban-DJ/dp/B00UIL5QVO/ref=sr_1_3?ie=UTF8&qid=1426666895&sr=8-3&keywords=aban+dj
http://www.amazon.com/Jazz-Piano/dp/B00URLAN6I/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1427205053&sr=8-2&keywords=Jamie+Winter+Quartet

These your songs contains my music.
And I also know these songs registered in the content ID of the Youtube.

But I does not allow these to you!

Please stop the use of my music and delete the content ID of the youtube.

Regards,
**** ****
MusMus(http://musmus.main.jp/)

すると・・・ついに帰ってきましたメールが!初めてのBelieveMusicの声!
そこにはこんなことが。

Could you please give the url of your song ?
Then I will be able to find your file and solve the issue.

believedigitalに自分の楽曲のアドレスを送る

いよいよ大詰めです。言われた通りMusMusの該当箇所を送りました。

すると・・・何の回答もないまま1か月経過\(^o^)/

結末

最後のメールから1か月間のどこかで、いつのまにかamazon、iTunes、YouTubeなどの各種メディアから2曲は消えていました。

お詫びの言葉のひとつもなく・・・・

これはもう限りなく黒に近いのではないかなぁ。Believe MusicおよびBelievedigitalはYoutubeトロールとして警戒すべきです。

YouTubeトロールは通常自分たちに非があることをわかっているから、動画投稿者が申し立てをすればその動画に関してはすぐ警告を取り下げます。申し立てをしてこない動画から広告料が掠め取れれば良いのですから。そして、本当の著作権者から申し立てが来たとわかったら、あっさりと引き下がる。法的には勝てないということなんでしょう。(実際にはこっちは個人で海外で裁判する気はないし、居直られたら手が出せないんですけどね)

というわけで、あんまりまとまらず長くなってしまいましたが以上が事の顛末でした。

少しでも同じ問題で困っている方のお役に立てば幸いです。

Beliebe Musicに対応するためのまとめ

  • Believe Musicの本体はhttp://www.believedigital.co.ukである
  • 有効だったのはbelievedigitalのHPから法務部への申し立て
  • 無効だったのはYouTubeへの申し立てと、believedigital代表への申し立て

追記(2016/01/13): とはいえ、海外企業へクレームを入れる際は自己責任で慎重に行ってくださいね

| カテゴリ:Youtube,音楽素材

“オリジナル楽曲を海外のレーベル(Believe Music)に無断で使用・販売されてから取り下げさせるまで” への6件のフィードバック

  1. musicgoblins より:

    初めまして、似たようなケースでBelieve Musicにアップしたyoutubeコンテンツの音源部分を勝手に販売されて著作権侵害の警告を受け憤慨している者です。商用でなく知人の演奏なのですが、なりすまし収益化が発生しているようなので現在審議しているところです。とても参考になりました。

    • watson より:

      はじめまして、この記事からだいぶ経っていますが、あまり状況は変わってないみたいですね。
      少しでもご参考になったのであれば幸いです。

  2. クラシアン より:

    お疲れ様です。

    先生の貴重な時間を奪うとは許されない
    とはいえ海外を相手にするのは骨ですね

    • watson より:

      「先生」はご勘弁を・・・(笑)
      ほんとは日本に窓口のあるYoutubeに対応してほしかったですねー。

  3. Kanako より:

    イギリス在住の者です。UKドメインなので、多分担当はイギリス人だろうなあ、と思いつつ読みました。正直言って、相手のこの対応はイギリスではデフォです。対応しただけ随分マシだと思いました。こういう法的なことが絡む問題において、イギリス人は簡単にSorryとは言いませんので、よっぽど強く追求しない限り、または法的手段に訴えると通告しないかぎり、相手からの自発的な謝罪は皆無と思って間違いないです。
    とは言え、実際にこの一連のアクションを起こしたご本人からすると、本当に大変だったと思います。お疲れ様でした。これからも変わらぬご活躍をお祈りしております。

    • watson より:

      コメントありがとうございます。
      なるほど、そのあたりは文化の違いですね。
      そうすると意図的なトロールではなく単に謝罪しないだけでまともな組織なのかもしれませんね。
      今回はラッキーだったと思っておきます!

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