TuneCoreで音楽をサブスク配信した場合どれくらい再生されれば黒字になるのか

watsonです。
今や誰でも自由に自分の音楽をSpotifyなどのサブスクで配信できる時代になりました。
とはいえ個人が直接SpotifyやiTunesに配信することは不可能に近いので、代わりに配信してくれる業者(ディストリビューターといいます)にお金を支払って依頼する必要があります。配信収益が支払った料金を超えなければ赤字ということになります。
日本から利用できるディストリビューターはいくつかありますが、実は黒字を出すだけなら超簡単なディストリビューターもあるんです。例えばFrekulというサービスであれば配信すること自体は無料です。これなら赤字には絶対になりません。
ただし、Frekulの場合は収益から40%を手数料として差し引くという方式になっていますのでたくさん再生されればされるほど手数料も膨らんでいくという側面もあります。
TuneCoreの手数料ゼロの威力
一方でTuneCore Japan(以下TuneCore)というディストリビューターはアルバムやシングルごとに配信費用がそこそこかかる代わりに収益からは原則として※手数料が差し引かれないという楽曲配信サービスです。
収益から歩合で手数料を引かれる他のサービスに比べ、たくさん再生された場合にとても有利です。
※ 原則として: 配信先が増えるにつれこの原則がくずれてきているようです。また、各ストアでの収益に関する情報を公開することはTuneCoreが厳しく規制するようになりましたので、確認したい方はTuneCoreのアカウントを取得して(無料です)ユーザー専用ページでご確認ください。
例えば1年間で100万円の収益が得られた場合
先ほどのFrekulであれば40%にあたる40万円もの金額が手数料として差し引かれますが、TuneCoreであればかかるのは配信費用の5,225円だけ。
残りの99万5000円ほどがアーティストに実際に入る収益となります。
再生数や収益が増えれば増えるほどこの差が大きくなっていきます
ただし、TuneCoreの場合はまず配信費用の5,225円を稼がないと赤字になってしまうので、どれくらい再生されれば黒字になるのかは気になるところです。
そこでこの記事ではTuneCoreから楽曲を配信する場合にどれくらい再生されれば黒字となるかをまとめてみました。
配信のための費用
2022年4月現在、TuneCoreでアルバムを1年配信するためのお値段は5,225円となっています。
2年間や3年間で配信すると割引きがありますが、多分初めて配信する人でいきなり3年を選べるチャレンジャーは少ないはずです。
ここでは1年間の配信費用を5,225円として計算していきます。
1再生あたりの収益単価
1再生あたりの収益単価はSpotifyの再生単価で計算しました。筆者の経験上Spotifyは最も再生されやすく、かつ再生単価は最下層なので、黒字化の最低ラインを出すのに適していると考えました。
数字としては筆者の2021年10月の実績「0.27円」を使っていきます。少し古い数字ですが大きな変動はないはずです。
参考記事:【最新版】各音楽ストリーミングサービス1再生あたりの収益比較2021年10月
計算
黒字になるためには、
再生数 × 再生単価 > 配信費用
となればいいので、損益分岐点となる再生数は・・・
再生数 = 配信費用 ÷ 再生単価
となります。
計算してみます。
5,225 ÷ 0.27 = 19,351
出ました。1年間に1万9000回ほど再生されればトントンになる計算です。
1か月あたりにするとだいたい1600回再生となります。
どうでしょう?そんなに高いハードルではないように思えませんか?
更に言えば、この数字は以下のような最低条件のもと計算しています。
- 最底辺の再生単価で計算
- ダウンロード販売の収益は含めていない
- YouTube Content IDやFaceBookの収益を含めていない
ですので、実際には黒字化のハードルはもっと低くなります。
黒字になるために
プロモーションについて
とにかく再生数が必要なのでプロモーション(宣伝)が大事になってきます。
ところで、TuneCoreのようなディストリビューターはプロモーションで再生を後押ししてくれるのでしょうか?
一応TuneCoreにはアーティストページがあったりアルバム配信の速報を流してくれたりはするんですが、筆者個人の感触としては残念ながらTuneCoreからプロモーションの力を感じたことがありません。(リリース時にサブミットというプロモーション的なサービスを申し込めますが、筆者はこれを利用したことが無いので威力がわかりません)
ですので、自分でプロモーションして再生を促していく必要はありそうです。
ただ、SpotifyやApple Musicなど配信先のプラットフォームがリスナーを誘導してくれている感触はあります。
特にSpotifyは再生数が多く、AIによる「関連アーティスト」「おすすめ」「プレイリスト」などの自動プロモーションから新規リスナーを誘導してくれていると思われます。
再生単価について
再生単価は筆者の過去の実績から0.27円にしましたが、実際には一つ一つの再生ごとに単価が違います。
ざっくりまとめると
- 再生されるプラットフォームで単価が違う(SpotifyとApple Musicの単価は違う)
- 同じプラットフォームでも再生される国や地域で単価が違う(日本とアメリカで単価が違う)
- 同じプラットフォームでも再生した人が有料プランか無料プランかで単価が違う
こんな感じなので、アーティストや作品の方向性によって単価が結構違ってくるんじゃないかなと思っています。
例えば有料プランで再生するリスナーに好まれれば単価は高くなります。グローバルで再生されて、しかも広告単価が高い国で再生されても高くなります。
なので、例えばワークアウトに使いやすい音楽はジムに通うようなお金と時間の余裕がある人がリスナーになってくれるので単価が高いんじゃないかと予想しています。また、アメリカは経済的にも広告費が高いので再生単価も高いと思われます。そういったあたりにプロモーションできると強そうですね。
割引について
割引を使うとハードルは更に下がります。
例えばTuneCoreでは配信期間を1年間ではなく、3年といった期間にすると配信費用が割引になります。
また、アルバムやシングルの初回配信が無料になる期間限定キャンペーンが随時行われています。アカウントがあればキャンペーン情報がメールで送られてきますので、とりあえず登録しておくのも良いと思います。アカウント登録だけであれば無料です。
それから初回シングル配信が50%OFFとなるクーポン(下のバナーリンク)を置いておきますのでよろしければご利用ください(watsonからの友達紹介という形になります)
最後に
配信をしたことがないとどれくらい再生してもらえるのかわかりませんよね。
たいして再生されないと予想して記事の最初に書きました「必ず黒字になるディストリビューター」を利用する、というのもアリですが、SNSでいつ何がバズるかわからない時代です。突然たくさん再生されて多額の手数料を支払ってから悔やむことになる可能性もあります。
また、他のサービスでたくさん再生されるようになったアルバムを手数料を抑えるためにTuneCoreで再配信したとしても、それは別のリリースとして扱われます。SpotifyやApple Musicなどの実績がリセットされてしまうので再生リストやフォローしてくれたリスナーも失ってしまいます。
手持ちの楽曲があればとりあえずお試しでTuneCoreで配信してみてはいかがでしょうか。赤字になるようであれば他のサービスに移す、という順番の方が高い収益を望みつつ再生数が伸びなかった時のダメージが少ないのではないかと思います。
それでは皆さんも楽しい音楽ライフをお過ごしください!
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