Omnisphere 2 レビュー | 海のように深い懐をもつ最強シンセサイザー

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定価6万4000円ほどするシンセ Omnisphere 2 が以前から断続的にセールになっていますね!

一生かかっても使いきれないと言われる膨大なプリセットを内蔵したシンセです。持ってない方はこの機会にいかがでしょうか?

そういえばお世話になっている Omnisphere 2 のレビューを書いていなかった!と思い立ち書いてみました。膨大すぎるプリセットを使っていくコツなども書いてみましたので購入を考えている方の参考になれば幸いです。

ではまず Omnisphere 2 の特徴です。

Omnisphere 2の特徴

① 音質が良い
② 膨大なプリセット(音色)数
③ 目的の音を探しやすくする工夫
④ 強力なエフェクター
⑤ 音色エディット
⑥ ORBインターフェース
⑦ 無償アップグレード

こんなところでしょうか。順番にご紹介します!

特徴① 音質が良い

Omnisphere 2 といえばその膨大な収録音色数をまず挙げる人が多いと思いますが、あえてこちらを先に挙げさせていただきます。とにかく音質が良い!

内蔵エフェクトとセットで作り上げられた音がプリセットとして大量に入っていますが、どれもこれもうっとりするような音質です。
プロが作った音色とエフェクトのセットといった感じで即戦力な音質になっています。
記事の後半にサンプルを置いておきますのでぜひ聴いてみてください。

特徴② 膨大なプリセット(音色)数

先ほども書いたように即戦力な音が大量に入っています。

主な音色のラインナップとしては、

  • シンセ系(モノ、ポリ、パッド、リード、ノイズ、ベース)
  • 環境音系(テクスチャ、プレイアブルテクスチャ)
  • パーカッション系(エレキ、生)
  • リアル楽器音系(ギターなど)
  • コーラス系
  • オルガン系
  • トランジション系
  • エスニック系

こんなとこでしょうか。もっとあるんですがここでは割愛します。

各プリセットにはこんな感じでアイコンがあるんですが、これがまたカッコいい!

地味に使えるのがトランジション系。Omnisphere 2 内部では「Transition Effects」というカテゴリに分類されています。トランジションというのは音楽の展開を意味していて、カテゴリ「Transition Effects」にはそういった音楽の展開時に鳴らすとカッコいいエフェクトがたくさん詰まっています。他のシンセであればつまみをたくさんいじくって作っていくような音が完成形で一発で呼び出せるので、音楽の展開部分がなんとなく締まらないなという時に重宝します。

他にはシンセ系の音がたくさん入っているのは当然として、コーラス系のラインナップの良さも目立ちます。ちょっと他の音源で聴いたことのないようなコーラスがたくさん。複数の母音で構成されたようなコーラスもあります。

逆に手薄なのがギター、ピアノ、バイオリンなどの生弦楽器でしょうか。こういった音は専用のシンセに任せた方がいいと思います。

特徴③ 目的の音を探しやすくする工夫

Omnisphere 2 には膨大な種類のプリセットが収録されているので音を探すのが大変という贅沢な悩みが発生します。この辺も工夫されていて、多機能なブラウジング機能で絞り込んでいくことができます。

画面はこのような感じです。

左から右に向かってカテゴリ、タイプ、ムード、ジャンルといった感じで絞り込んでいきます。

※Omnispere 2 からはベースシンセ Trillian の音色も呼び出すことができますので、画面では私の所持する Trillian のカテゴリ分類も表示されてしまっています

更に Omnisphere 2 には音色を探しやすくする工夫として、似ている音を探してくれる「Sound match」という機能が備わっています。これは「選んだ音はそこそこイメージに近いけどなんかちょっと違う」というシーンで役立ちます。

音色をロードした状態で「Sound match」ボタンをクリック。

現在ロードされている音色に似ている音が一覧で表示されます。

まぁ問題としては似ている音に絞ってもまだまだ選択肢が多くて選びきれないってことですかね・・・贅沢。

特徴④ 強力なエフェクター

Omnisphere 2 には数々のエフェクターが内蔵されています。大量のプリセットには最初からエフェクターが組み込まれていることがほとんどですので、プリセットのエフェクターをいじったり抜き差ししたりしてエディットしていく感じです。

この内蔵エフェクター、一昔前は下手するとDAWに標準装備されていたエフェクターより強力だったんですよね^^; 当時SONARを使用していたぼくは初めて Omnisphere 2 を使った時のリバーブのきめ細かさに度肝を抜かれました。

2021年現在、さすがにDAWに標準装備されているエフェクターも進化していて、例えばStudio Oneに搭載されているリバーブもかなり良いです。それでも Omnisphere 2 に搭載されているエフェクターが強力なのは今でも変わらないと思います。

特徴⑤ 音色エディット

この部分を推す方も結構いるみたいなのですが、個人的にはあんまり Omnisphere 2 で音色エディットしなかったりします。だってプリセットの完成度が高すぎるんだもん笑

それでも各プリセットにはちゃんとこういったエディット画面があるのでいじろうと思えば色々といじれますし、ゼロから構築していくことも可能です。

AからDまでの4つのオシレータには波形プリセットのほかにもサンプリングした波形を割り当てることができます。

こちらはアルペジエーター画面。

でも Omnisphere 2 はそうやって音色を作りこむシンセじゃないような気がするんですよね。もう出来上がっている膨大な数の完成度の高い音色をポンと呼び出してそのまま使っちゃうというのが正しい Omnisphere 2 の姿だと個人的には思います。

特徴⑥ ORBインターフェース

あんまり話題になりませんが、ORBインターフェースというものが付いています。
どの音色でもこの円形のPADをグリグリいじることで音色を変調させることができます。

また、このポイントが自律的に動くようにもできるので、規則的かつやや予測不能な形で音を変調させることができます。
他のシンセみたいに何らかのパラメータに紐づけたりとかしなくてもいいので簡単。

特徴⑦ 無償アップグレード

Omnisphere 2 は2021年現在バージョン2.6となっています。発売からだいぶ経ったいまでも2系のままアップグレードを数回重ねているのですが、なんと全て無償です。そのアップグレード内容が、ハードシンセと同期できるようになったりアルペジエイターが強化されたり、他のシンセならお金とるんじゃないの?ってくらいの内容だったりします。
この辺はTrillianもそうなので、Spectrasonicsという会社の理念とか信念のような気がしますね。

音色サンプル

お待たせしました。膨大過ぎる Omnisphere 2 の収録音からぼくのお気に入りをいくつかご紹介します。

Alias Drone Boom

Playable Texture カテゴリから。こういう雰囲気を作れる音がたくさん入っています。

Bell of Apocalypse

ベルカテゴリから。これがベル・・・?ベルという概念に収まらないようなとんでもない音ですね。

Drop Off

watsonイチオシのTransitionカテゴリより。ちょっと音が大きいかも・・・

Endless Opera Pad

Pad and Strings カテゴリから。どうですか。この音色でちょっと和音を弾いただけで音楽になっちゃってます。この音ですら Omnisphere 2 の中ではまだ普通のPAD音と言えます。

Boys Choir Oh-Eh-Ah

声もいいのがたくさん入っております。こちらは少年コーラス隊のプリセット。そのまま弾いても「おーえーあー」としゃべってくれるので単調になりません。

Gospel Worship 5

こちらも声のカテゴリに入っていますが・・・なにやら教会のような空間で人々が祈り(?)を捧げているような・・・使いどころが謎ですが妙に心に突き刺さるこんな音が何故か8種類も入っています。

Comping Tom and Dave

Synth Poly カテゴリより。こちらもちょっと弾いただけで音楽になっちゃってますね。

Glorious Steel

ギターは手薄と書きました。実際に収録音が少なくて細かいアーティキュレーションも表現できないんですが、単音の音色自体はこんな感じで素晴らしいです。

オススメな使い方

ぼく個人のオススメな使い方をご紹介します。

Omnisphere 2 の世界は海のように深くて底が見えません。目的とする音がイメージできていてもそう簡単には探し出せません。そこでオススメしたいのは一期一会的な使い方です。

曲をある程度作り始めてから Omnisphere 2 で目的の音を探すのではなく、最初に Omnisphere 2 で適当に音を選んで「おっ?この音いいな」と思ったらその音を軸に曲を作り始めるといううやりかたです。あるいは「なんか1パート足そう」と思った時に音色のイメージを決めずにとりあえず Omnisphere 2 を開いてみる、とかですね。プロダクションミュージックを大量に作りたい方にはめちゃくちゃマッチする使い方だと思いますよ~

ぼくの曲ですと「ねずみのパーティー」「ゆきうさぎ」などがこの方法で作られています。特に「ゆきうさぎ」は単独のプリセットを単に弾いているだけです。ヴェロシティで音色が変化するので展開もラクでした。
参考になれば幸いです!

あえて書く Omnisphere 2 の気になる点

ここまで Omnisphere 2 の良いところを中心に書いてきました。

一応、使っていて気になる点も書いておきます。

UIの動作がやや重い

いわゆるユーザーインターフェース周りがやや重いと感じます。タイプが似ていると思われるシンセ UVI Falcon2 や reFX NEXUS 4 などと比べるともたつきを感じます。音さえ決めちゃえば発音自体の重さはないんですけどね。(発音自体はSERUMとかの方が負荷が大きいと感じます)

プリセットのロードが遅い

これもUIと同じくもたつきを感じます。膨大な音が入っているのでもっとサクサク音を切り替えて探せると嬉しいんですが。私の環境ではSSDにインストールしていますがそれでもサクサクとは言えない感じです。HDDだともっと遅い可能性がありますのでSDDにインストールすることをお勧めします!

とはいえ、上記2点はいずれも許容範囲です。このあたりを気にして Omnisphere 2 を使わないなんてもたったいない!ちょっとくらいの使いにくさも許せるほどの魅力が Omnisphere 2 にはあると思います。

最後に

Omnisphere 2 の懐はとてつもなく深いです。その海のように深すぎる懐で溺れてしまったのが若かりし頃のぼくでして、購入してから数年ほどはいい音だと思いながら実際の曲に使えない日々が続きました。
でも、底が見えないなら見えないなりに付き合い方を改めればよかったのでした。それが本記事の「オススメな使い方」です。

この記事をお読みのあなたも Omnisphere 2 の音の海で溺れてみませんか?

| カテゴリ:音源

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